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誰だって、人から良い評価をされたら嬉しいものだと思う。

「俺サマは人の目など気にせんのだ」
という男気自慢のアナタだって、
「他人の意見は問題じゃないの。自分が納得できるかどうかが大切なのヨッ!」
というストイックな彼女だって、
内心、褒められれば悪い気持ちはしないはずだ。
まあ、そういうことにしておいてください。

『Yahoo!知恵袋』は、そんな世の老若男女の“評価してして”願望に格好のエサを撒き散らかし、大変繁盛しているコンテンツである。
要は寄せられた質問に最もふわさしい回答を投稿することでグレードが上がり、閲覧している人から
「ふむふむ、このお方はレベル7のツワモノか」
「おやおや、こちらはレベル1のヒヨッコね」

など、どの程度の知恵者かが一目瞭然になる訳だ。

仕事を辞めて九州に転居し、暇を持て余したワタシがころりとハマってしまったのが、この知恵袋なのである。名前もよろしいね。

しかしこの知恵袋、そう簡単にはレベルが上がらない。
回答数100件ごとにやっとグレードが1つ上がるのだが、問題は「ベストアンサー率」だ。
何百件という自分の回答のうち、ベストアンサーに選ばれた割合が、少なくとも61%以上なければ最高のレベルには達せない。
平野でザコ敵との戦闘を数こなしゃいい、というようなものではないのである。

ベストアンサーは質問者の選択か、もしくは閲覧者の投稿で決まる。
そこで、“良い評価してして”と思っているワタシのような参加者は、
「きぃっ、ワタシの答えの方が美しいのにっ!」
と歯がみしたり、
「ま、負けた…」
と挫折を味わったり、
「ほおらごらん、言ったとおりでしょう」
と欣喜雀躍したりする結果となるのである。
このスリル?がこたえられず、尋常ならざる速読でベストアンサーを書けそうな質問を探し回り(何の専門家でもないワタシの場合、当然、少ないのだが)、ベストアンサー率を血眼でチェックする日々。

 頭のどこかで警鐘が鳴る。
 
幸い、終わりの日が来るのはそう遠くなかった。
ワタシにとってはレベルアップの難度が高すぎたのだ。
回答もどこか慣れていい加減になり、ベストアンサー率が50%を切った時点で、全くもってやる気が失せた。

その頃にはこんな、質問とはいえない質問も目につき始めていた。
「1日中知恵袋をやっているワタシって大丈夫だと思いますか?」
「職場で知恵袋やっている人いますか?」
「知恵袋が閉鎖されたら何時間耐えられますか?」
「分からない質問に検索してまで回答するってバカじゃね?」
…。そう、みんな分かっているのだ。

 知恵袋は「割りに合わない」

しかしながら、今回、自分のホームページを立ち上げるにあたり、サーバはどこがいいのかとか、ブログはどこが人気かとか、多数の質問をさせてもらった。
“評価してして”な人かどうかは知らずや、即座に適切な回答が寄せられる。
本当に便利なものである。
もちろんベストアンサーは自分の手で、きっちり選ばせていただいた。

Yahoo!知恵袋さんありがとう。そしてさようなら…。
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