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ガーデニング。

一時期、ちょっとセレブな奥様や、一人暮らしの清楚な(?)女性なんかを対象として、本に雑誌にTVにともてはやされ、今なお人気が続いているステキな趣味だ。
もちろん、ワタシには興味関心、一切ござらぬ。

なぜって?

考えてもみてほしい。

おじいちゃんの畑で青虫にまみれて収穫を手伝い(ほんの時々ね)、野山の雑草をちぎっては食べ(これはしょっちゅう)、下生えに群がる昆虫やカエルを採取しては嫌がられ(これもしょっちゅう)、かたつむりレースに興じてきた(梅雨時の風物詩はコレ)…

そんなワタシが、なぜ今更、「ガーデニング」なんてカタカナになったくらいで「シャレた趣味だわ~」なんて感心することができようか?
雑草や昆虫と戯れたこともない、海にはスーパーの切り身が泳いでいると思い込んでいる都会モンのくせに、なーにがガーデニングじゃい、ってなもんである。

…と、御託を並べてみたが、要は「めんどくさーい」のだ。
パソコンや本や、TVにマンガがあれば、1日なんてあっという間じゃない。
一体全体、どうしてわざわざ、植物なんぞに金子に手間暇かけなきゃならんのか?
こちとら、観葉植物の水やりで目一杯、精一杯だちゅうの。

自然たっぷりの九州の地に引っ越すにあたって、周りの友人知人たちからもこの「ガーデニング」が満喫できるんじゃなあい?と勧められたものだ。
そういえば、事務所中から忌み嫌われていた、前に勤めていた会社の女部長にも、
「あらあ、いいわねぇ、野菜畑つくりなさぁ~いよぅ~? 娘つれて体験学習に行くわぁ、オーッホホホ」
と高らかに笑いかけられた。

この女部長、「パワハラ」という言葉を地でいく強烈な個性を持っており、一緒に仕事をしていると手には脂汗、額に冷や汗、話す言葉は打ち震え…その破壊力はゴジラも顔負けという人物なのだが、なんとワタシの直属(専属?)の上司だった。
ようやくその呪縛から逃れられると思っていた矢先だったので、上の台詞を聞かされた時には顔で笑って心で泣いて、葛藤ここに極まれりといった胸の裡だった。
トラウマが強すぎて長くなったが、これは余談。
もちろん退社後、彼女とは一切の連絡を断っている。ホッ。

閑話休題。

新天地で入居した物件は、広い庭付きの2階建て一軒家。
というと聞こえがいいが、その実、築20年になろうかという、ところどころにガタが出始めたお宅だ。 
(これでも、不動産屋を巡った中では一番、良い方だったのだが。)
猫の額のような都会の地に住んでいる人ならきっと憧れるであろう、ガーデニングし放題のはずの広い庭も、これまで住んだ人たちが手入れを怠ったのだろう、9月に本州から渡ってきてみれば、夏を越えた雑草がモッサモッサと腿にも届かんばかりに生い茂っている。

これにはさすがのワタシも、
「ここは破れ家か!?」
とうんざり。

不動産屋に電話しても「一度刈ったんですがねぇ…雑草はすぐ生えますからねぇ…仕方ない」で終わり。
泣く泣く、ホームセンターで安い鎌を購入し、草負けしない完全装備に身を固め、
「カヤよドクダミよハハコグサよ、いざ尋常に勝負!」

(つづく)




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